TopPage 栽培管理のポイント
 
土壌PHの測定
 

1 春と秋の作付け前に土壌pHを測定する。
 
 大学農園は、春作と秋作の年2回作付けすることを原則としている。
 このため、それぞれの作付け前に土壌PHを測定している。

2 土壌分析試料の採取

   
 移植ごてで作土を採取(表土は除く)  5カ所の作土を混ぜ合わせて試料にする

3 土壌pHの測定機器
 平成28年に購入した(株)アタゴ製 デジタルpHメーター(DPH-2)を使用
     
 試料を計測  容器に土壌と5倍量の
精製水を入れて攪拌
 pHメーターで測定

4 作物ごとのpH好適値
 多くの野菜は、好適値がpH6.0~6.5(土壌pHの改良目標値)。
 ジャガイモ、サツマイモは好適値がpH5.5~6.0とやや低い。

 pH  野菜 果樹 
6.5~7.0  ホウレンソウ イチジク 
6.0~7.0  サヤエンドウ、トマト、ダイコン、キャベツ、アスパラガス ブドウ 
6.0~6.5  サトイモ、インゲン、エダマメ、カボチャ、キュウリ、スイカ、ナス、
ピーマン、コマツナ、シュンギク、ショウガ、チンゲンサイ、ニラ、
ネギ、ハクサイ、ブロッコリー、ミツバ、レタス 
ナシ、カキ、キウイ 
5.5~6.5  イチゴ、カブ、タマネギ、ニンジン  ウメ 
5.5~6.0 サツマイモ  ミカン、モモ 
5.0~6.5  ジャガイモ   
4.5~5.5    ブルーベリー、茶 
  (資料:日本土壌協会「土壌診断によるバランスのとれた土づくりVol.2)


5 大学農園のpH測定値は6.3~7.0(平成28年2月測定)
 
作付面積の多いジャガイモ、サツマイモ栽培にはやや高いので、当分の間は石灰施用を行わない。

6 土壌pHと野菜の必須要素の吸収しやすさの関係
  ・pH7.5以上では、急激に肥料3要素の一つのカリウムが吸収しにくくなる。

・pH5.5以下では、N、P、K、S、Ca、Mgが吸収しにくくなる。 

7 pHが8に近い畑では多くの野菜は生育不良となる。
     
 生育不良のカブ  葉が黄化したカブ  生育不良のミズナ

8 考察:石灰はホウレンソウ以外は施用しない方が無難
(1)園芸書やテレビ番組(趣味の園芸等)では、日本は雨が多いため土壌が酸性になりやすいので、石灰を施用するよう書かれているが、毎作石灰を施用すると、pHが改良目標値(6~6.5)より高くなりやすい。

(2)私が前職(埼玉県農林部職員)中に指導したことのある市民農園では、多くの利用者の畑のpHは7~8であった。(毎作の石灰施用により上昇)

(3)土壌pHは野菜の生育への影響が大きいので、ホウレンソウのようにpH7前後を好む野菜以外は、石灰を施用しないほうが無難である。

(4)乾燥鶏糞はpH8前後のアルカリ性肥料のため、多く施用すると土壌pHを高めるので注意が必要である。(鶏は毎日卵を産むため、炭酸カルシウムを多く含むカキ殻飼料を食べており、更に鶏舎の消毒のために石灰をまくため、鶏糞には石灰分が多く含まれている)