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センチュウの防除

1 センチュウとは
 和名は「線虫」、英名は「ネマトーダ」と言う。

 分類学上は、袋形動物門であり、原生動物門(アメーバ、ゾウリムシ等)と環形動物門(ミミズ等)の中間に位置する動物である。

 多くの種があるが、そのほとんどは、生きた動植物に寄生しない「自活性センチュウ」であり、細菌や糸状菌を食べている。

 農作物に被害を生じる「植物寄生性センチュウ」は、主にネコブ、ネグサレ、シストの3種である。

 「植物寄生性センチュウ」は、頭部先端に細長い吸収口を持ち、運動がにぶい。

2 ネコブセンチュウ
(1)生活サイクル
 ネコブセンチュウの1世代は、卵、1期から4期幼虫、成虫の6段階である。

 土の中を移動でき、植物に侵入するのは2期幼虫(体長0.5mm)だけである。

 雌成虫(体長0.5〜0.7mm)は、卵のうを作り、500〜600個を産卵する。雌成虫は単為生殖できるため、増殖スピードが速い。

 1世代に要する日数は30〜60日で、5月〜10月に増殖する。

(2)農作物の被害
 ネコブセンチュウの侵入を受けた農作物は、根の組織が盛り上がって、コブができるため、生育不良となる。
 
ネコブ ネコブセンチュウ
幼虫(体長0.8mm)
ネコブセンチュウ
雌成虫(体長0.6mm)

(3)耕種的防除対策
 ア 田畑転換を行う。

 イ 良質な堆きゅう肥を増量して施用する。
 植物寄生性センチュウを食べる糸状菌、細菌、小動物が繁殖するため、被害が軽減される。

 ウ 石灰窒素を農作物の植え付け前に、10a当たり50〜100kg施用する。  
 石灰窒素が水と反応してできるシアナミドは、センチュウの殺虫効果がある。なお、石灰窒素(CaCN2)は、窒素を20%含有するため、窒素肥料施用を大幅に減らす必要がある。

 エ 施設では、夏季に太陽熱による土壌消毒を行う。

(4)土壌くん蒸剤による防除
 
作付け前に十分な期間を設けて、土壌くん蒸剤で土壌消毒を行う。
 センチュウ防除用として、比較的価格の安いD-D剤の使用が多いが、土壌病害には効果が期待できない。

(5)接触型殺線虫剤による防除
 土壌くん蒸より簡単な方法として、作付け前の殺線虫剤の全面土壌混和がある。



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