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土着天敵の利用

1 土着天敵の利用
 6月から9月は、土着天敵の活動が盛んである。

(1)微小害虫の被害が大きい場合(ナス)

 ハダニ類、コナジラミ類、アザミウマ類、ハモグリバエ類、アブラムシ類などの微小であるが増殖力の高い害虫については、天敵による被害抑制効果が高いので、できるだけこれを活用するため、天敵への影響の少ない農薬の使用に努めることが重要である。

(参考)微小害虫とそれを捕食する天敵  (太字は重要なもの)
微小害虫 害虫を捕食する天敵
ハダニ類 カブリダニ類、ヒメハナカメムシ類、ハダニアザミウマ類、テントウムシ類、ハダニバエ類、ハネカクシ類、クサカゲロウ類
コナジラミ類 寄生蜂類、昆虫寄生菌(かび)
アザミウマ類 ヒメハナカメムシ類、クサカゲロウ類
ハモグリバエ類 寄生蜂類
アブラムシ類 アブラバチ類、ヒラタアブ類、ショクガタマバエ類、クサカゲロウ類、テントウムシ類、ヒメハナカメムシ類

カブリダニ オンシツツヤコバチ ヒメハナカメムシ
ハモグリミドリヒメコバチ アブラバチのマミー ヒラタアブ

(2)食葉性害虫の被害が大きい場合(ブロッコリー等アブラナ科野菜)

 クモ類及び寄生蜂類等の天敵による被害抑制効果が高いので、できるだけこれを活用するため、天敵への影響の少ない農薬の使用に努めることが重要である。

ウヅキコモリグモ アオムシサムライ
コマユバチの卵
アオムシサムライ
コマユバチ成虫

2 選択性殺虫剤の使用等
(1)土着天敵を有効活用するためには、合成ピレスロイド剤、有機リン剤、カーバメート剤のような「皆殺しタイプ」の殺虫剤は粒剤以外は使用せず、「選択性殺虫剤」を使用する。

農薬商品名 効果のある害虫 効果のない害虫 天敵への影響
少ない 大きい
(比較)
皆殺しタイプ
の殺虫剤
多くの害虫 薬剤抵抗性の
付いた害虫
多くの
天敵
アファーム
乳剤
チョウ目害虫、アザミウマ類、ハダニ類、ホコリダニ類、ハモグリバエ類 コナジラミ類、アブラムシ類、甲虫類、カメムシ類 クモ類、
カブリダニ類、
ハチ類
スピノエース
顆粒水和剤
チョウ目害虫、アザミウマ類、ハモグリバエ類 コナジラミ類、アブラムシ類、甲虫類、カメムシ類、ハダニ類、ホコリダニ類 クモ類、
カブリダニ類
コテツ
フロアブル
チョウ目幼虫、アザミウマ類、ハダニ類、ホコリダニ類、一部の甲虫類 コナジラミ類、アブラムシ類、カメムシ類、ハモグリバエ類 クモ類、
カブリダニ類
ヒメハナカメムシ
モスピラン
水溶剤
小型のチョウ目幼虫、コナジラミ類、アブラムシ類、アザミウマ類、カメムシ類、一部の甲虫類 大型のチョウ目幼虫、ハダニ類、ホコリダニ類、ハモグリバエ類 クモ類、カブリダニ類、ハチ類
アクタラ
顆粒水溶剤
小型のチョウ目幼虫、コナジラミ類、アブラムシ類、アザミウマ類、カメムシ類、一部の甲虫類、ハモグリバエ類 大型のチョウ目幼虫、ハダニ類、ホコリダニ類 カブリダニ類 ハチ類
プレオ
フロアブル
チョウ目幼虫、アザミウマ類、ハモグリバエ類 ハダニ類、ホコリダニ類、コナジラミ類、アブラムシ類、甲虫類、カメムシ類 多くの天敵
オサダン
水和剤25
カネマイト
フロアブル
ハダニ類、ホコリダニ類 左記の害虫以外 多くの天敵

(2)育苗期及び定植時には、防除効果が長く、天敵への影響も軽微な「浸透移行性のある粒剤」を散布する。

 粒剤は、アブラナ科野菜のハイマダラメイガ(シンクイムシ)の防除や果菜類のウイルス病媒介害虫の防除に特に有効である。
 


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